アナキンはなぜドロイド司令船のシールドを通過できたのか?

この記事は管理人が『スター・ウォーズ完全基礎講座<エピソード I 篇>』に記載した内容を改定したものです。内容的には『エピソード I』公開当時のままなので、最新の設定に反する記述が含まれているかもしれません。予めご了承ください。

出撃するアナキン
出撃するアナキン

『ファントム・メナス』のクライマックス、予期せぬ事態と遭遇したとはいえ、アナキンはクワイ=ガンの忠告を振り切って宇宙へと出撃し、苦戦するブラボー隊を尻目に通商連合のドロイド司令船を破壊してしまう。これは映画中盤のポッドレースと並んでアナキンの類い稀なる素質を訴えかける重要な場面である。しかし、その中には非常に不可解な事象が存在する。それが「シールドの通過」だ。ここではアナキンがどうやってあの強力なシールドを通過したのかについて、いくつかの設定事項の紹介を交えながら考察してみたい。

スター・ウォーズ・ユニバースにおけるシールドの概念

まず、シールドとは敵の攻撃から身を守るためのエネルギー・フィールドの総称である。シールドがあるからこそ、戦闘機や戦艦は敵の攻撃にさらされても多少は持ちこたえることができるのだ。これは多数のシールドが登場する『ファントム・メナス』を見ていれば明らかであり、旧三部作にも類似シーンは数多く存在している。スター・ウォーズ・ユニバースではこのシールドという概念が完全に確立されており、極めて一般的な存在なのだ。

砲撃は防げるが・・・
砲撃は防げるが・・・

ここで、シールドには2種類あるということを説明しておきたい。それは電磁シールドと粒子シールドである。電磁シールドとは電磁波を主体とするエネルギー兵器による攻撃を偏向させることによって内側を保護する。当然、戦闘機そのものや、ミサイルなどの実弾兵器の侵入を妨げることはできない。具体的な例では『新たなる希望』におけるデス・スターの排熱ダクトに施されていたシールドがそれである。そのため、レーザー・キャノンによる攻撃は通用せず、プロトン魚雷を命中させるしかなかったのだ。

バトル・ドロイドの侵入は防げない
バトル・ドロイドの侵入は防げない

一方の粒子シールドとは、より波長の短い(すなわち粒子性の高い)電磁波によるフィールドを形成することによって、一定以上の速度を持つ物体の通過を妨げるシールドのことである。これはスポンジのようなものを考えてもらえば容易に理解できるだろう。けん銃の弾のような高速な物体は衝突時間が短いために一瞬にしてエネルギーを吸収されてしまい通過できないが、指で時間をかければ穴をあけることもできる。『ファントム・メナス』のナブーの戦いでグンガン軍が用いたシールドは、通商連合軍のAAT(装甲突撃戦車)の砲撃を防げても、バトル・ドロイドの侵入を防ぐことはできなかった。これは粒子シールドの特徴である。宇宙での戦いでは、粒子シールドを通過できる低速物体はまず存在しないので、これを張っていればかなりの確率で船体の破損を免れることができるのだ。

通常の戦闘機や宇宙船、基地などは、電磁シールドと粒子シールドの両方を使用している。前述のグンガン軍のシールドも、ナブーでのジェダイたちとダース・モールの戦いを隔てたシールドも、『ジェダイの帰還』の第2デス・スターのシールドも、すべて両方のシールドを組み合わせて使っている。電磁シールドしか装備していなかった『新たなる希望』の初代デス・スターは、あくまで反乱軍を見くびっていただけであり、その結果破壊されたのである。

ドロイド司令船のシールドは?

では、ドロイド司令船のシールド構造はどうなっているのだろうか。初代デス・スターと同じように電磁シールドだけだとすれば、この問題の答えは自明である。戦闘機ははじめから通過できたのだ。だが、用心深く、資金も豊富な通商連合がこんな軽率な失敗をおかすとは思えない。ブラボー隊のパイロットたちは口々に「シールドが強すぎて破れない」と言っているし、艦長のドールティ・ドフィーンも「我々のシールドは無敵だ」と豪語している。ここでは粒子シールドも張られていたと考えるのが妥当だろう。

一方、こういったシールドの耐性は照射体のエネルギー容量に比例すると考えられる。小型戦闘機では少ないエネルギーを航行、攻撃、防御と使い分けなければならないため、一般にシールドの耐久性や持久性は低いが、逆にドロイド司令船のような大型艦船の場合は豊富なエネルギーを盾に、かなり強力なシールドを長時間持続させることができる。こうなるとますますアナキンの快挙に疑問が生じることになる。

偶然と素質

選ばれしタイミング
選ばれしタイミング

以上のことから、アナキンがシールドを突破し、ドロイド司令船の内部に侵入できたことは物理的には不可能なはずだと結論づけることができる。では、なぜできたのだろうか?実は、もう一度該当シーンをじっくり観察すると、ある重要な事実に気付くことができる。

ドロイド司令船は無数のドロイド・スターファイターを擁する宇宙空母である。そして、これらのドロイド・ファイターはまさにアナキンが突入したハッチから出入りししているのだ。ハッチを通過する際にはかなりの速度を出していることが予想されるため、通常はその瞬間だけ粒子シールドを解除するようプログラミングされているはずだ。そう、アナキンがハッチを通過できるとしたら、このタイミング以外にあり得ないのだ。そして実際にドロイド・ファイター数機が、アナキンの戦闘機とすれ違うようにドックから出撃しているのである。つまり、アナキンは粒子シールドが切れていた瞬間を見逃さなかったのだ。もちろん、彼自身がそのタイミングを見計らっていたとは思えないし、それは映画を観ていれば明らかだろう。彼にそのタイミングを与えたのは、まさしくフォースの導きに他ならないのだ。

なお、劇中でははっきりと描かれていないが、小説版では「フォースによってシールドを通過」という記述が確かに存在していることを付け加えておく。無敵のシールドを通過したばかりか、司令船のメイン反応炉に最も近いハッチへ突入したアナキン一彼はやはり「選ばれし者」だったのだ。

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