ドロイド・ガイド

LINデモリッションメク LIN demolitionmech

機種:
LINデモリッションメク自動機雷施設装置
製造元:
サイボット・ギャラクティカ社
種別:
工業用爆破ドロイド
大きさ:
0.7メートル
価格:
不明

LIN demolitionmech

LINデモリッションメク自動機雷施設装置は、不運とマーケティング不足の組み合わせによって市場から消え去った、優秀な製品の一例である。

サイボット・ギャラクティカ社は、採鉱からビル破壊まで、様々な用途において商用に利用されるデモリッションメクを製造した。このドロイドは地面の底部を走行し、デュラスチールのドームで内部の機構を保護している。この重厚なシェルの存在理由は明確である。爆弾を設置した後、ゆっくりと動くドロイドには爆発によって生じた無数の破片が降り注ぐことが多いのだ。

通常動作の間、LINデモリッションメクは2つの大きなトレッドで定位置まで進み、その後、はめ込み式アームで内部の回転式ラックから爆破キャップを抜き取る。そして、デモリッションメクは音波センサーによって建造物の弱点を探り、適切な場所に爆弾を設置するのだ。ドームとアームは360度回転可能である。また、伸縮式の2本のアンテナは、数キロメートルにおよぶ頑丈な岩を通過してシグナルを送信することができるが、デモリッションメクはドロイド言語を使用した通信しか行うことができない。

デュラスチール・シェルの重さはデモリッションメクの欠陥の1つであり、そのため、このドロイドは動きが遅く、5速ドライブ・インペラーもまったく役に立っていない。デモリッションメクは湿度の高い環境下でヒートアップを起こすことがあり、これは水に満たされていることの多いトンネルのある採鉱惑星で問題となっている。

サイボット・ギャラクティカ社の広告代理店であるスコームアソック社は、頑丈さだけに注力してこのドロイドの宣伝を行うことを決定した。この記念すべき広告のタイトルは「爆破に耐える」であり、その内容は宇宙空間に浮かぶ何千ものデモリッションメクが戦艦のターボレーザーに撃たれるというものだった。エネルギー・ビームがマング=ティー・テーブル上のボールのようにドロイドたちを四散させるが、傷ひとつない状態ですべてのドロイドが生き残るのだ。

これはサイボット・ギャラクティカ社が明らかな誇張によって漫画のように表現したものに過ぎないが、消費者はデモリッションメクが文字通りの爆破耐性を持たない理由を要求し、同社は対応に苦慮することになる。(実際に多くの人々が実験としてデモリッションメクにレーザー砲火を浴びせたのだ。)サイボット社は広告を打ち切ったが、その直後により深刻な事態に直面した。ゴスファムリングの鉱山植民地で、デモリッションメクの掴んでいた爆弾が設定より早く爆発したのである。その結果、トンネルが崩壊し、10人の鉱夫が窒息死したのだった。

調査官は、原因は爆弾の欠陥であり、ドロイドのものではないと結論付けたが、LINデモリッションメクは既に十分な悪評を受けてしまっていた。サイボット・ギャラクティカ社はデモリッションメクを市場から回収したのである。

リコール後、デモリッションメクは犯罪組織や軍隊で成功を収めることになる(これらの組織は株主を満足させる必要がないのだ)。犯罪カルテルは甲虫のようなデモリッションメクをライロス、ソッコーロ、他のスパイスが豊富な惑星に送り込み、新しいスパイス鉱脈を爆破して開拓するために使用している。また、共和国軍と後の帝国軍は、このドロイドを地雷埋設および除去のために使用している。一方、クローン大戦中のグリガーの戦いでは、マロー・ムーンを破壊するために563体のデモリッションメクが上空に打ち上げられたのだった。

ASPドロイド ASP droid

機種:
ASP-7ドロイド
製造元:
インダストリアル・オートマトン社
用途:
汎用多目的労働および修理
大きさ:
1.6メートル
価格:
1,000クレジット

ASP droid

ASPドロイドは勤勉でシンプルな構造をした労働ドロイドであり、クローム・メッキされた極めて実用本位の外観をしている。おおよそヒューマノイド型をしたASPは、剥き出しの油圧ピストンとサーヴォモータから動力供給を受ける単純なジョイントで連結された頑強で実用的なフレームを有している。

インダストリアル・オートマトンのASPユニットには数多くの機種が存在し、幅広いサイズと機能を提供している。その多くはアドオン方式で装備品やソフトウェアをカスタマイズできる単純な第5種労働ドロイドである。なかでも一般的な労働モデルであるASP-7は認識能力も制限されており、余計な機能が一切付いていない音声合成装置は「はい」か「いいえ」のどちらかしか反応を返さない。

モス・アイズリーの総督は市内全域に散らばる数多くのASPドロイド・チームを所有していた。その中の特殊な1体であるASP-704は、モス・アイズリーの通信網に多数の通信中継機を設置する任務を与えられていた。たまたま近くを通りかかった帝国軍のタイプIVプローブ・ドロイドと口論になることも多く、短気なASP-704がこの迷惑なプローブ・ドロイドをいきなり叩き落とす場面もよく見られた。

ASP-7より大きく、より複雑な機種がASP-19ドロイドである。これらはライトセイバーの訓練のために特別な改造を施されており、ダース・ヴェイダーもASP-19に「キラー・ドロイド」というあだ名を付け、セイバーの技術を磨くためにこの格闘ドロイドの小隊とスパーリングを行っていた。

パトロール・ドロイド patrol droid

機種:
帝国軍セントリー・マークIV・パトロール・ドロイド
製造元:
帝国軍軍事研究部門
用途:
居住エリアにおける一般的な監視
大きさ:
0.3メートル
価格:
対象外

patrol droid

マークIVパトロール・ドロイドは、本質的には浮遊型センサー・ドロイドである。このドロイドはリパルサーリフト・エンジンによって常に空中に浮かんでおり、機敏に動き回ることができる。最高高度は地上10メートルにまで達し、前後と頭上に搭載されたセンサーを駆使して帝国軍の敵を捜索する。パトロール・ドロイドは同時にすべての方向を見ることができ、電磁波および赤外線探知機、視覚センサー、ホロ記録装置内蔵の超小型マクロバイノキュラー、広帯域受信アンテナ、帝国軍の緊急用周波数に合わせた通信装置などが搭載されている。

パトロール・ドロイドは法令に基づく歴史的データで満たされた詳細なデータバンクを有しており、同時に帝国法の全文が記録されている。さらに各地の守備隊はこのドロイドに地元の法令リストとパトロール地域の地形図を追記している。パトロール・ドロイドには帝国軍と地元政府が指名手配しているお尋ね者の情報もすべて記録されており、場所によっては低出力ブラスターを搭載させているところもある。

パトロール・ドロイドは違法行為があればすべて報告するようプログラムされているため、法令データバンクが定期的にアップデートされずに時代遅れの法が残っている地域では迷惑な存在となっている。これらのドロイドのプログラムは個性をほとんど持っていないが、定期的なメモリー消去を行わないと情緒不安定な状態になりやすい。

WEDトレッドウェル・ドロイド WED Treadwell droid

機種:
修理ドロイド
製造元:
サイボット・ギャラクティカ社
用途:
修理など
大きさ:
不明
価格:
不明

WED Treadwell droid

一般的なユーティリティ・ドロイドであるWEDトレッドウェル・モデルは、基部が平たく潰れているため、重心が低く保たれているのが特徴である。基部からは細い首と束状の操作アームが伸びており、望遠鏡のような首の先端にはゴーグル状の光受像機が付いている。会話能力は乏しく、さえずるような2進言語しか話すことができない。

WEDトレッドウェルは、サイボット・ギャラクティカ社製の安価な大量生産型修理ドロイドである。このドロイドは汎用性が高いため銀河系の至るところで使われており、特にアウター・リムでは入手がし易いことから高い人気を誇っている。

このドロイドの基部には通常6本の操作アームを支えるソケットが付いており、なかには8個以上のソケットを持つ機種も存在する。サイボット・ギャラクティカ社では様々な作業に応じて交換できる有用なアームをオプションとして販売しており、これらを併せて購入することを消費者に推奨している。

RA-7デス・スター・ドロイド RA-7 Death Star Droid

機種:
給仕およびスパイ・ドロイド
製造元:
アラキッド工業社
用途:
官僚の監視
大きさ:
1.7メートル
価格:
不明

RA-7 Death Star Droid

このヒューマノイド型ドロイドの特別モデルはプロトコル・ドロイドと非常に良く似た構造を持つが、その顔はむしろ昆虫に似ている。これらのドロイドは主にデス・スター上で使用されていたことから、「デス・スター・ドロイド」という非公式な名称で呼ばれることが多い。

アラキッド工業社は軍事用および警備用ドロイドの分野で特に優れており、帝国軍からも大きな好感を得ていた。このため同社は帝国の上流階級にある最も高位の役人たちから個人的な給仕ドロイドの発注を受けており、少なくとも帝国保安局(ISB)は皆にそうだと信じさせていた。

アラキッド社はRA-7と呼ばれる冴えないドロイドを発送した。このドロイドになされたプログラムは標準以下であり、サイボット・ギャラクティカ社の先端プロトコル・ドロイドにあるような高級感が欠けている。しかし、このドロイドの無能さは完全な設計に基づくものだった。ISBは帝国の官僚たちを監視するためのスパイ網を構築するため、アラキッド社を利用していたのである。

このドロイドの第一プログラムには秘密の記録および監視システムが隠されており、暗号化された周波数帯を通じてISBの主人と定期的かつ内密に接触を行うようにプログラムされているのだ。

RA-7の真の目的に関する噂が広まると、プライバシーを守ろうとする官僚たちは、ドロイドの破壊もしくは完全な再プログラミングや、敢えて反逆者の烙印を押されるような危険を冒すまでもなく、すぐに都合よくドロイドを「置き忘れる」ようになった。こうしたドロイドは帝国軍のエリート・ポストであるデス・スターにも無数に存在していたが、デス・スターの爆発と共にすべて破壊されてしまった。

MSEマウス・ドロイド MSE mouse droid

機種:
帝国軍MSE-6ドロイド
製造元:
レバクサン・コルムニ社
用途:
帝国軍士官への機密文書の配達
大きさ:
0.3メートル
価格:
300クレジット

MSE mouse droid

MSE-6ドロイドは今は無きチャドラ=ファンの企業レバクサン・コルムニ社によって製造されたドロイドである。本来、これらは汎用的な用途が想定されたドロイドであり、チャドラ=ファンの技術者が故郷にいる小柄なペット用動物に似せて開発したものだった。しかし、このドロイドの見た目と騒々しい言語は消費者に害虫のような印象を植え付けてしまった。結局、多くのMSE-6ドロイドがメーカーに返品され、レバクサン・コルムニ社は倒産してしまったのである。

倒産に伴い、レバクサンは在庫のMSE-6ドロイドを帝国軍に破格値で提供した。当時パルパティーンの新秩序によって肥大化を続けていた帝国宇宙軍は深刻なドロイド不足に苦しんでおり、在庫を急展開させることができたのである。結果として、MSE-6ドロイドはほぼすべての帝国艦船に配置され、銀河全域に広まったのだった。

MSE-6ドロイドには大きな物体を持ち上げ、運ぶことのできる丈夫な操作アームが付いている。また、もう1本の繊細なアームは精密な修理や他の細かな作業に使用される。これらの2本の腕は本体内部に収容することができ、普段は外装の内側に隠されている。他の付属装置には、聴覚センサー、電子光受像機、超小型ホロカムがある。

MSE-6ドロイドのプログラムは、単一のモジュラー・サーキット・マトリクス(Cマトリクス)によって決定される。それぞれのマトリクスには1つの仕事しか割り当てられていないが、これらは安価で簡単に導入することができる。事実、MSE-6はマトリクスを入れ替える仕事を与えられた他のMSE-6ドロイドによって頻繁に再プログラミングされている。一般的なMSEのマトリクスには、初歩的な修理、警備、清掃、通信、基礎的なコンピュータ・プログラミングなどが割り当てられている。帝国軍の管理下では、これらのドロイドはよく伝令に用いられており、デス・スターのような巨大施設の中ではトルーパーを先導している姿をよく見ることができる。

MSE-6は高官の密使として働くこともあり、その際には本体の上に命令書や重要な書類が封印された状態で収容される。これらの封印は音声認識による認証によってのみ解除することができる。

こうした重要な任務を割り当てられたドロイドは担当区画の完全なデータを入力されていることが多く、緊急時になると敵の手に渡る前に溶解させられることが多い。そのため、MSE-6には自然と強い自衛本能が備わることが多く、危機に直面すると一目散に逃げ出すことがある。

尋問ドロイド interrogator droid

機種:
IT-O帝国軍尋問ドロイド
製造元:
帝国保安局
用途:
拷問による囚人への秘密情報の尋問
大きさ:
0.3メートル
価格:
対象外

interrogator droid

一般に拷問ドロイドとしても知られる尋問ドロイドは、共和国時代には禁止されていたテクノロジーであり、後に帝国軍によって考案された最も忌むべき発明の1つとなった。シンプルな設計のIT-O尋問ユニットは直径1メートルにも満たない光沢のある黒い球体である。低出力のリパルサーによって空中に浮遊し、原始的な音声合成装置によって会話を行うこともできる。このドロイドの表面は機能を端的に表しており、音声拷問装置、電気ショック装置、拘束爪、酸噴射機、レーザー・メス、パワーはさみ、巨大な注射器などが取り付けられている。内部スペースには多種にわたる液状の薬剤が収納されており、なかには恐ろしい針を通じて投入される自白剤のベイヴォ6やOV600なども含まれる。こうした薬品類は激しい痛みこそ伴わないが、精神に刺激を与え、幻覚症状を引き起こすことがある。

尋問ドロイドには光学センサーと音声受信機も搭載されており、囚人の苦痛にゆがむ表情や叫び声を受信することができる。また、このドロイドのプログラムは薬学、心理学、外科医学、およびヒューマノイドの生理学全般を網羅している。 生命反応モニターは相手が意識を失う瞬間を予測し、全力でそうならないように努め、内部に搭載された記録装置は拷問中の悲鳴の中に含まれるどんな些細な情報も、漏らさず記録している。さらに、発達したセンサーは囚人の心拍数や筋力の状態、音声パターンに基づいて、自白の信憑性を見極めることもできる。

帝国軍は捕らえた反乱軍兵士に対する尋問のためにこれらの拷問ドロイドをよく使用している。しかし、レイア姫はIT-Oとダース・ヴェイダーによる精神探査に耐え抜き、反乱軍の秘密基地の所在を暴露しなかった。彼女はオルデラン王室の一員として保持する重要な情報を守るため、子供の頃から様々な拷問に抵抗する訓練を受けていたのである。

帝国軍プローブ・ドロイド Imperial probe droid

機種:
プローブ・ドロイド
製造元:
アラキッド工業社
用途:
辺境惑星からの情報収集および銀河系における敵の所在地の捜索
大きさ:
1.6メートル
価格:
14,500クレジット

probe droid

本来、アラキッド工業社のプローブ・ドロイドはハイパースペース・ルートや未発見の惑星を探すために宇宙を探索するドロイドとして開発されたものである。しかし銀河内乱が勃発すると、アラキッド社はプロボットのセンサーとステルス機能を強化し、反乱軍基地の捜索に役立つという触れ込みで帝国軍に売り込みを行った。そしてプロボットは成功を収め、ダース・ヴェイダーはさらに改良を加えたヴァイパー・ドロイドの開発を個人的に発注し、ルーク・スカイウォーカーの捜索に使用したのである。

プロボットは小型ハイパースペース・ポッドに収容された状態で大型艦船から発射される。これらのカプセルは目的の惑星に到着するとプロボットを放出し、ドロイドは惑星の探索を開始する。プロボットはリパルサーリフトと推進装置を用いて事実上あらゆる地形を移動することができ、最高速度は時速40キロメートルにまで達する。探索中には聴覚センサー、電磁波センサー、移動体センサー、地震センサー、嗅覚センサーを駆使し、居住者のあらゆる兆候を探知する。数多くの搭載装置には、光学カメラ、映像拡大機、赤外線スコープ、磁気映像化装置、レーダー受信機、音波受信機、放射線測定器などがあり、4本の操作アームと高トルク捕捉アームによって容易に惑星から標本を採集することも可能である。また、センサー類は本体内に収縮することができ、伸張することによって対象物をより詳細に探査することもできる。

プロボットは永遠に生命の兆候を捜索し、帝国軍のホロネット通信の周波数を用いて帝国軍のみに発見したものを報告する。プロボットはブラスターを1基装備しているが、生命体と遭遇しても滅多に攻撃することはなく、むしろ相手が気づいて攻撃を仕掛けてくるまで観察を行い、即座に自爆することによって証拠を隠滅する。

銀河内乱が激化するにつれ、基本的なプロボットの設計は有能なハンター=キラー・プロボット(H-Kプロボット)へと吸収されていった。150メートルの大きさを誇るこのドロイドは、今までに製造された最大の戦闘ドロイドの1つである。H-Kプロボットは帝国軍の定期監査や武力封鎖、追跡および拘留の目的に使用されており、特に深宇宙では多くの宇宙船を捜索し、密輸や他の犯罪行為を摘発している。H-Kプロボットには強力なトラクター・ビーム発射装置が搭載されており、腹部にある収容ベイに宇宙船を捕捉することもできる。収容区画は幅が30メートル、奥行きは10メートルあり、大抵の貨物船を収容可能である。内側には2基のクワッド・ブラスターと1対のイオン・キャノンが装備されており、船が脱出しようとすると攻撃を行うこともできる。

LOMプロトコル・ドロイド LOM protocol droid

機種:
人間=機械間翻訳ドロイド
製造元:
インダストリアル・オートマトン社
用途:
管理助手、外交補佐、通訳、相談役
大きさ:
1.6メートル
価格:
不明

LOM protocol droid

これは企業による史上最も悪質な模造品の1つである。LOMプロトコル・ドロイドは、インダストリアル・オートマトン社とサイボット・ギャラクティカ社の幹部間にある悪感情を最も如実に表した好例と言えるだろう。

サイボット・ギャラクティカ社とインダストリアル・オートマトン社は、ドロイド業界におけるビッグ2と呼ばれているが、両者は一般大衆の想像においても、明らかに異なるイメージを形成している。サイボット社は3POプロトコル・ドロイドに代表される、洗練されたエレガントな製品で知られており、一方でIA社は人気製品のRシリーズ・アストロメク・ドロイドを通じて、労働者階級としての評価と信頼を得ているのだ。

IA社には常に何らかの固定観念が根付いている。クローン大戦の終結から数年後、インダストリアル・オートマトン社はLOMシリーズの開発を決意し、プロトコル市場の主要メーカーへのし上がろうとしていた。だが、同社は第1世代となる製品で露骨になりすぎることを避け、ブリジット、ヴァーパイン、ヤムリなどの昆虫型種族をテスト市場として選んだのだった。デザイナーたちはLOMの頭部を可能な限り幅広い生物層に適応できるよう、昆虫に似たデザインに仕上げていたのである。

しかし、適材適所モデルの販売はインダストリアル・オートマトン社の最終目標ではなかった。LOMが予想通りの性能を発揮すれば、同社はこれをヒューマノイド型ドロイドへと作り変え、2標準年以内に大規模市場へと投入する計画だったのである。事実、この計画を示す証拠はLOMドロイドの至るところに存在しており、例えば、LOMは膨れ上がった複眼を搭載しているが、内部の視覚装置は人間と同じスペクトルに合わせて調整されている。

実際にサイボット・ギャラクティカ社を激怒させたのは、インダストリアル・オートマトン社がサイボット社自身の部品供給業者との取引を仲介した際の手法についてである。IA社はトランラングIII通信モジュール付きのAA-1ヴァーボ=ブレインをシンステック社から入手していた。同様に、同社は長年にわたって良好な関係を築いている企業からドロイドのボディ・プレートを入手していた。だが、LOMの首から下は、ライバルである3POユニットとほとんど見分けが付かないのだ。

サイボット・ギャラクティカ社は3POユニットの最大提供者として、商標権の侵害および不正競争を訴える訴訟を起こした。それでもインダストリアル・オートマトン社はLOMを市場へ投入し、限定リリースながらも良好な売れ行きを見せることになる。消費者は、LOMが3POと大差ない個性を持ち、優しさと思いやりによって神経過敏に見えるという事実に好感を抱いたのである。

しかし、インダストリアル・オートマトン社にとって、第2の重大局面はさらに深刻なものだった。豪華宇宙客船<クアリ・プリンセス>に搭乗していた4-LOMが、従業員としての職務を放棄して、宝石泥棒へと成り果てたのである。やがて、4-LOMは銀河系で最も恐ろしい賞金稼ぎの1人となった。サイボット・ギャラクティカ社は「見掛け倒しの職人」となったライバル企業を嬉々として非難したが、同時に広報被害を受けたのだった。IA社はLOMシリーズを断念したが、それでもなおCA社を乗っ取るべく、新たな手段を模索し続けている。

TT-8L警備ドロイド TT-8L "Tattletale" security droid

機種:
TT-8L/Y7
製造元:
サーヴ=O=ドロイド社
用途:
訪問者の監視および武器などのスキャン
大きさ:
2.5メートル
価格:
不明

TT-8L security droid

サーヴ=O=ドロイド社製TT-8Lは、もともと裕福な顧客向けに無用心な玄関の監視用として販売されているドロイドであり、脅威探知スキャナや監視システムを備えている。このドロイドには多少の威嚇力を持ったY7から、金メッキ仕上げの廉価版XSSまで、世代を超えて12以上の異なる機種が存在する。

TT-8Lの外観は目玉の付いた枝でしかなく、その様相から「おしゃべりな尻尾」という愛称を得た。このドロイドは主にメインドアの通路付近に設置され、一度設置されれば稼動している間は最後までその場所に固定されることになる。そして訪問者が近づくとその足音が音声センサーを起動させ、隠された覗き穴から慎重に本体が姿を現すのだ。ドロイドは訪問者の身体的特徴を内部データベースで検索し、主人に客の訪問を伝える。主人は訪問者の進入を許可するか、更なる監視を行うよう命じることができるのである。

TT-8Lの開発に関しては、当初から激しい反対意見が存在していた。このような単純な仕事であれば、もっと安価な知性のない監視ホロカムでも十分事足りるからだ。しかし、サーヴ=O=ドロイド社は当初から召し使いや使用人を雇うことに慣れた裕福な貴族向けにこのドロイドを販売していたのである。このような排他的販売戦略は俗悪趣味の頂点にまで達し、ついには派手に飾り立てたXSSモデルの出番を迎えることになったのだった。

黄銅色の古風な枝状の本体を供えたTT-8L/XSSは床に固定されているが、多関節式の構造によって限られた範囲内を動くことが可能である。青いガラス製のレンズは一組のマクロバイノキュラーと同等の機能を有し、使用しないときはブロンズ色のシャッターで保護されている。また、音声合成装置は柔らかで礼儀正しい言葉遣いになるよう、慎重に調整されている。そしてこのドロイドの2.5メートルほどの本体には複雑な渦巻き模様が彫られており、全体に銀色の装飾と合成された宝石がちりばめられている。皇帝の使用人たちも大量のXSSを購入しており、これらはリゾート衛星ヘスペリディアムに設置されているという。

Y7モデルは、サーヴ=O=ドロイド社がこの監視メカの用法として単純に安全な場所以外での使用を考慮した際に開発されたものである。犯罪者や隠者、偏執病患者などは疑わしい訪問者を取り調べ、彼らの武器を探知することができる装置を強く必要としていた。この新型モデルは、気弱な主人に変わって直接客と対峙することができるのである。

TT-8L/Y7はドアやドア・フレーム、入り口のアルコーブなどに直接設置するように作られている。堅い枝状の本体にはXSSのような曲がりくねったフレームはなく、土台部分から1本の管状ソケットが伸びているだけである。当然、すべての不要な装飾は取り払われており、弾力性のある黒い単純なデュラスチール殻に覆われていることが多い。中央の眼球には開閉式のシールドが付いており、スポットライト式の照明装置や赤外線および紫外線探知装置も備えているため、暗い場所でも監視が可能である。ただ、このドロイドはそれほど高度な知能を有していないため十分な信頼性があるとは言いがたい。そのため、サーヴ=O=ドロイド社は衛兵が常時直接操作できるよう、遠隔操作用サブルーチンを取り付けて販売している。

ボマー・ブレイン・ウォーカー B'omarr brain walker

機種:
再構築型BT-16ペリミター・ドロイド
製造元:
アラキッド工業社
用途:
脳の移動
大きさ:
1.7メートル
価格:
不明

B'omarr brain walker

ボマー・ブレイン・ウォーカーは、反応性に優れた機械式フレームに吊り下げられた脳として定義され、サイボーグとしての最低限の標準要件を認められている。このケースでは、フレームに改良を施したBT-16ペリミター・ドロイドが使用されているが、分類上、若干の混乱が生じているのも事実である。

部外者にとって、ボマーのサイボーグ・プロセスは不穏かつ不愉快なものである。しかし、ボマーの修道僧にとって、脳を除去することは大いなる名誉なのだ。ボマーは、自らを肉体から解放することこそが、啓発に達する唯一の方法であると信じており、進んで肉体から分離した知的存在となる道を選ぶのである。

何世代もの昔、ボマーの修行者たちからなる民族集団はタトゥイーンに商店を築き上げた。修道僧たちは砂丘海の真ん中に鉄とデュラスチールでできた陰気な修道院を建設し、自分たちの存在を先住民たちから隔離したのである。

そして何年にもわたる瞑想の後、最も信仰の深い僧たちは、もはや肉体は無用の長物であると考えるようになった。聖なる儀式のなかで、下位のボマーの従者たちがメスを研ぎ、師の頭骸から外科的に脳を取り出したのである。灰色のごつごつした物体となった脳は、培養液の満たされた瓶に入れられ、地下に造られた啓発の大広間の棚に並べられたのだった。

しかし、脳だけとはいえ、たまには外出する必要がある。そのため、ボマーの従者たちはアラキッド社製BT-16の部品で作った一連の枠組みを用意したのだった。修道僧たちはBT-16の連射式ブラスターと腹部のセンサー・グローブを取り除き、空いた骨組みの下腹部に脳を収容した瓶を取り付けたのである。

ブレイン・ウォーカーはその原点であるBT-16から改良され続けており、もはや単一のデザイン・パターンを踏襲したものではない。グリップ・クロウの有無や、脚の数も4本から9本まで様々である。しかし、ほぼすべての個体が、壊れにくい瓶の基部にスピーカー、音響センサー、一列に並んだカラー・ライトを装備している。これらのライトは通常の条件下では青や緑に光るが、赤く光ったときは脳が未知の新しい状態に適合できず、絶叫していることを示している。

ジャバ・ザ・ハットはボマーの修道院を自身の娯楽用宮殿へと転用し、教団の修道僧たちを最下層の地下回廊へと追いやった。この変化によって、修道僧たちはより熱心に他者を自分たちの生き方へと勧誘するようになる。事実、ジャバがカークーンの大穴で死亡すると、彼らは熱心さのあまり嫌がる者たちから無理やり脳の除去を行うようになったのだった。

自分たちのドロイドがタトゥイーンでこのような奇妙な目的のために使用されていることを、アラキッド社が認識していたかは定かでない。しかし、ヤヴィンの戦い直後、同社は完全に作り変えた新型のBT-16を発表している。この新型機種はメレンデータ社製のTSアラック・ペスト=コントロール・ドロイドを重度に模倣した製品だった。帝国は初代デス・スター内で使用するべく、このドロイドを大量購入したが、この戦闘ステーションはBT-16が活躍の場を与えられる前に破壊されてしまったのである。

J9ワーカー・ドローン J9 worker drone

機種:
J9ワーカー・ドローン
製造元:
ヴァーパイン、ローシュ・ハイブ
用途:
通訳
大きさ:
1.9メートル
価格:
不明

J9 worker drone

J9ワーカー・ドローンは史上最も売れなかったプロトコル・ドロイドである可能性が高い。ローシュ・ハイブのヴァーパインの技術者たちに特にこれといった不手際は無いが、昆虫種族は得てして他の文化を理解する能力に欠けるのだ。この製品の欠点は、巨大な銀河系マーケットでの販売には思わぬ落とし穴があるという教訓を与えてくれたのだった。

ヴァーパインはこのドロイドの外装甲を設計する際に、自身の下顎の先を見ることができなかった。このドロイドは、膨らんだ複眼、鋭い鉤爪の付いた手足、尖った口鋏など、明らかにヴァーパインに似せて作られている。そのため、銀河系で多数を占める哺乳類型種族は、J9をおぞましいエイリアン・ドロイドであると認識し、このことは販売戦略上、明らかに不利に働いたのである。

J9の第2の問題は、このドロイドに個性を与えたヴァーパインのプログラマに責任がある。このドロイドは昆虫コロニーの厳格に管理された構造社会の中では十分に機能するが、ハイブの思考パターンに固執するあまり、甲殻、吐き戻し、ロイヤル・ゼリーなどの言葉をそのまま翻訳してしまうことが多いのだ。

結果的に、買い手はこぞってJ9を避けていった。落胆したヴァーパインは価格を大幅に引き下げ、J9に奇妙な第2幕をもたらした。ヴァーパインはこのユニットを、彼らの社会での一般的呼称である「ワーカー・ドローン」として販売していたため、ヴァーパイン以外の買い手はラベルを誤解することが多く、多くのJ9が倉庫や荷積ドックに入れられてしまったのだ。だが、ローシュは異議を唱えなかった。商品が売れ、利益が上がればそれでよかったのである。

しかし、J9を貨物のタグ付け役として使うのは余りにも無駄である。このドロイドにはアージャンII・ロジック・コンピュータとトランラングIII通信モジュールが搭載されており、百万以上の言語を理解することができるのだ。知性の面では、J9は3POユニットと競合し得るのである。このドロイドの巨大な昆虫の目はヴァーパインの可視範囲に適応しており、主として紫外線波長に反応する。また、極めて敏感な嗅覚センサーとトープレックス社製マイクロ波センサーによって、J9は人間が感じるよりはるかに多くの事象を認識することができるのである。

J9の腰部の三角形をした複合型ジョイントは、ローシュ・ハイブのトレードマークである。同様の腰部ジョイントは、8D8精錬オペレータや、他の多くのローシュ製品にも採用されている。

最近になって、ヴァーパインはシック=シックス、フラカックス、ジデックなどの他の昆虫種族への、J9の直接再販を計画し始めた。これまでのところ、巨大なカマキリに似たヤムリの間で、最大のブームが沸き起こっている。

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